日商簿記3級・2級の独学勉強法と合格スケジュール【2026年版】
更新日:2026年5月9日|大谷 一輝(大阪経済大学3回生・日商簿記1級勉強中)
日商簿記検定は年間40万人以上が受験する日本最大規模の資格試験です。私自身、公認会計士を目指して約1年間勉強するなかで簿記2級の知識をベースに積み上げてきました。この記事は私の受験経験と、実際に使ったテキスト・スケジュールをもとにまとめた勉強法です。
3級
50〜100時間
仕訳と決算整理を固めれば、短期合格を狙いやすい入門級。
2級
150〜250時間
商業簿記に加えて工業簿記が登場。早めの全体像理解がカギ。
STRATEGY
ネット試験も活用
日程の自由度が高く、仕上がったタイミングで受けやすいです。
この記事について:筆者(大谷)は大阪経済大学3回生。公認会計士試験を約1年間学習後、現在は日商簿記1級を目標に勉強中です。実際の受験経験をベースに書いています。正確性には注意していますが、最新の試験情報は
日本商工会議所の公式サイトでご確認ください。
【出題範囲の改定情報】2026年度は変更なし・2027年度から大改定予定
2026年度の出題範囲は2022年度区分表がそのまま適用され、変更はありません。ただし2027年度から大きな改定が予定されています。主な変更点:
・手形・小切手の論点が全廃(紙媒体の手形・小切手が実務で廃止されるため)
・2級→3級に移行:都度法(販売のつど売上原価に振り替える方法)・固定資産の除却廃棄・定率法
・リース会計が全面改定:「使用権資産」「リース負債」という新勘定科目が登場し、ファイナンス・リース/オペレーティング・リースの区分がなくなる
2027年度以降に受験予定の方は、最新テキストで学習してください。
簿記試験の基本情報
| 項目 | 3級 | 2級 |
| 試験回数 | 年3回(6月・11月・翌2月)+ネット試験は随時 |
| 合格率 | 40〜50% | 20〜30% |
| 必要勉強時間 | 50〜100時間 | 150〜250時間 |
| 試験時間 | 60分 | 90分 |
| 合格基準 | 70点以上(100点満点) |
ネット試験について:2020年から導入されたネット試験(CBT方式)では、全国のテストセンターで随時受験できます。筆記試験に比べて日程の自由度が高く、合格発表も即日のため、短期集中で合格を狙いたい方におすすめです。
簿記3級の勉強法
学習期間の目安:1〜2ヶ月(1日1〜2時間)
簿記3級の試験範囲は個人商店レベルの会計処理です。仕訳・帳簿記入・財務諸表作成が中心となります。
私が実際にやった3ステップ
- テキストで全体像を把握(2〜3週間):「みんなが欲しかった!簿記の教科書」を1周読みました。最初は完璧に理解しようとせず、まず全体の流れを掴む読み方がよかったです。
- 問題集で仕訳を反復(2〜3週間):仕訳問題を毎日20〜30問解きました。仕訳は簿記の根幹で、ここの精度が合否を分けます。手が自動で動くくらい反復するのがコツだと感じました。
- 過去問・模擬試験で形式慣れ(1〜2週間):本番の時間配分を意識しながら、過去問を制限時間内に解く練習をしました。ネット試験の場合は模擬試験ソフトも活用しました。
頻出論点と注意点
簿記2級の勉強法
学習期間の目安:3〜5ヶ月(1日1〜2時間)
簿記2級は3級の内容に加え、工業簿記(原価計算)が加わります。難易度が大幅に上がるため、3級合格直後でも気を抜かずに取り組む必要があります。
注意:近年の簿記2級は難化傾向にあり、合格率が20%を下回る回も増えています。独学の場合は最新の試験傾向を意識した問題集選びが重要です。
商業簿記の攻略
3級の応用として、株式会社会計・連結会計・税効果会計などが加わります。特に連結会計は2級で最も難しい単元で、多くの受験者がつまずくポイントです。仕訳の流れを図解で理解してから演習を積むことが定着の近道です。
工業簿記の攻略(2級のカギ)
工業簿記はCPA受験勉強でも管理会計として扱う分野で、私にとっても最初は体系が全然違って戸惑いました。原価計算・原価差異分析・CVP分析などが主要テーマです。最初はテキストをじっくり1冊読み込んでから演習に移ると理解が深まりやすかったです。工業簿記は一度理解できれば安定した得点源になります。
🐣
受験生
工業簿記って商業簿記と何が違うんですか?最初から混乱してます…
📚
大谷(簿記1級勉強中)
わかります、私もそこで止まりかけました。商業簿記は「お金の出入りを記録する」ですが、工業簿記は「モノを作るのにいくらかかったか計算する」んです。別の科目と思って割り切ると入りやすいですよ。
📚
大谷(簿記1級勉強中)
まずテキストを1冊通読して「全体像」を掴むのが先です。問題集に飛びつくと仕訳の意味が分からなくて詰まります。原価計算の流れが頭に入ったら、あとは演習量がそのまま点数に直結します。
2級の学習スケジュール例
| 期間 | 内容 | 目標 |
| 1ヶ月目 | 商業簿記テキスト精読 | 仕訳・帳簿の理解 |
| 2ヶ月目 | 工業簿記テキスト精読 | 原価計算の基礎固め |
| 3ヶ月目 | 問題集(商業・工業) | 頻出論点の反復演習 |
| 4ヶ月目 | 過去問・模擬試験 | 時間内完答の練習 |
| 5ヶ月目 | 弱点補強・直前対策 | 70点以上を安定させる |
おすすめテキスト・教材
3級向け(私が実際に使ったもの・調べたもの)
※ 以下の教材リンクにはAmazonアソシエイトリンクを含みます。
2級向け
- みんなが欲しかった!簿記の教科書2級(TAC出版):商業簿記・工業簿記それぞれ1冊ずつ。3級からの流れでそのままこのシリーズを使い続けると統一感があります。
- 合格トレーニング日商簿記2級(TAC出版):演習量を増やしたい時期に使うと効果的です。教科書を一通り終えた後の問題演習に向いています。
仕訳の覚え方:借方・貸方を感覚で掴む
簿記学習で最初につまずくのが「借方(左)と貸方(右)の使い分け」です。次のルールを体に覚えさせることが最重要です。
| 勘定の種類 | 増えたとき | 減ったとき | 例 |
| 資産 | 借方(左) | 貸方(右) | 現金・売掛金・建物 |
| 負債 | 貸方(右) | 借方(左) | 買掛金・借入金 |
| 純資産(資本) | 貸方(右) | 借方(左) | 資本金・繰越利益剰余金 |
| 収益 | 貸方(右) | 借方(左) | 売上・受取利息 |
| 費用 | 借方(左) | 貸方(右) | 仕入・給料・減価償却費 |
暗記のコツ:✓ 資・費は借方(左)が増加と覚えると、残り(負債・純資産・収益)は貸方が増加と導けます。仕訳問題を毎日20〜30問反復することで、考えなくても手が動く状態を目指してください。
2級・連結会計の攻略法(最難関単元)
連結会計は多くの受験者が苦手とする単元ですが、3〜4パターンの処理を理解すれば得点できます。
| 論点 | 内容 | 難易度 |
| 投資と資本の相殺消去 | 親会社の投資と子会社の資本を相殺する基本処理 | ★★☆ |
| のれんの処理 | 相殺消去後の差額をのれん(資産)として計上・償却 | ★★☆ |
| 内部取引・未実現利益の消去 | 親子間の取引を消去し、利益を調整 | ★★★ |
| 非支配株主持分 | 子会社の純資産のうち親会社以外の持分を計上 | ★★★ |
連結会計は「タイムテーブル法」を使うと処理の流れが視覚化できます。TAC出版の「連結会計問題集」または「よくわかる簿記シリーズ」の連結会計編を1冊集中的にこなすのが最短ルートです。
ネット試験 vs 統一試験:どちらで受けるべきか
| ネット試験(CBT) | 統一試験(紙) |
| 実施頻度 | 随時(申込から最短3日) | 年3回(6月・11月・2月) |
| 合格発表 | 即日 | 試験から約1〜2週間後 |
| 問題形式 | 全問択一(記述なし) | 択一+記述・仕訳問題 |
| 難易度 | やや易しめの回が多い | 難化傾向の回もある |
| 向いている人 | 早く合格したい・スキマ時間で対策 | まとまった準備ができる人 |
おすすめ:初回受験はネット試験が有利です。日程の自由度が高く、合格後すぐに次の目標(2級・税理士)に進めます。本番前に1〜2回模擬試験を解いておくと、パソコン画面で解く形式に慣れられます。
合格後のステップアップ
| 資格 | 必要勉強時間 | 活用場面 |
| 日商簿記2級 | 150〜250時間(3級後) | 経理職・財務部門への転職 |
| 日商簿記1級 | 500〜800時間(2級後) | 税理士試験の受験資格・上場企業経理 |
| 税理士試験(簿記論) | 300〜500時間(2級後) | 税理士への最初のステップ |
| 公認会計士試験 | 3,000〜5,000時間 | 監査法人・CFO・財務アドバイザー |
簿記2級は経理・財務職への就職・転職で直接評価されます。簿記1級は取得すると税理士試験の受験資格が得られます(大学の単位なしで受験可)。
継続して勉強するためのコツ(私が実感したこと)
私がCPA・簿記の勉強を続けてきた経験上、簿記試験の不合格原因の多くは「勉強不足」ではなく「途中で勉強をやめてしまうこと」だと感じています。大学生・社会人は特に日々の忙しさで止まりがちです。
- 毎日のルーティンに組み込む:私の場合は通学中の電車と寝る前の30分を固定にしていました。時間より「毎日やる」習慣のほうが大事です。
- 勉強時間を記録して可視化する:記録することで「今週は5時間やった」という積み上げの実感が生まれます。これが続ける原動力になりました。
- 合格後のビジョンを持つ:「就活で話せるようにしたい」「経理の仕事につなげたい」など、自分なりの理由があると踏ん張れます。
- 仲間を作る:同じ目標を持つ人とSNSやアプリで繋がると、継続しやすくなります。
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まとめ
- 3級は50〜100時間、2級は150〜250時間が目安の学習量
- テキスト精読 → 問題集演習 → 過去問の順で進める
- 2級の工業簿記は最初の理解に時間をかけると後が楽になる
- 毎日の学習時間を記録することが継続のカギ
- ネット試験を活用すれば自分のペースで受験できる