日商簿記3級 | 公開:2026年5月7日
貸倒引当金の仕訳と計算
差額補充法・貸倒損失を完全解説
著者:大谷 一輝(大阪経済大学3回生・日商簿記1級勉強中)
貸倒引当金は日商簿記3級でほぼ確実に出る最重要論点です。
私が初めて解いたとき「なぜ引当金を積むのか」の意味が分からず何度もミスしました。
今回は「なぜ必要か」から始めて、計算→仕訳の流れをステップで整理します。
受
貸倒引当金って何ですか?「引当金」って初めて聞きました。
売掛金は「将来もらえるお金の約束」ですよね。でも取引先が倒産したら回収できない。その回収できないリスクを事前に費用として計上しておくのが貸倒引当金です。
師
受
なんで事前に計上するんですか?実際に倒産してから計上すればいいのでは?
それだと「売上は前期・損失は当期」になってしまい、利益の計算がおかしくなります。売上と費用は同じ期に対応させる——これが費用収益対応の原則です。
師
貸倒引当金を積まなかったらどうなるか
まず「引当金なし」の世界から確認します。
問題
前期に発生した売掛金¥7,000が貸倒れた。前期末に貸倒引当金は計上していなかった。
解答
⚠ 引当金なしの問題点:前期の売上に対応する損失が当期に出てしまい、利益が歪みます。これを防ぐために、決算時点で「貸倒引当金」を事前に積んでおくわけです。
STEP 1:決算で貸倒引当金を積む(差額補充法)
決算整理で、売掛金・受取手形の残高に対して一定割合の引当金を設定します。試験では差額補充法が定番です。
問題
貸倒引当金の残高は¥500。売掛金期末残高¥10,000・受取手形期末残高¥30,000に対して3%の貸倒れを見積もり、差額補充法で貸倒引当金を設定する。
計算の下書き(これを書けば絶対ミスしない)
📝 差額補充法の計算手順
① 必要な引当金(目標額)
=
(¥10,000 + ¥30,000) × 3% = ¥1,200
② 既存の引当金残高
−
¥500
③ 今期に繰り入れる額(①−②)
=
¥700 ← これが仕訳の金額
解答
💡 ポイント:「差額補充法」とは、目標額と残高の差額だけ追加積みする方法です。残高が既に目標額以上なら繰入不要(逆に戻入が必要なこともあります)。
STEP 2:実際に貸倒れが起きたとき
期中に取引先が倒産して売掛金が回収不能になったとき、積んでいた引当金から取り崩します。
問題
得意先が倒産し、前期に計上した売掛金¥3,000が貸倒れとなった。貸倒引当金の残高は¥1,200。
貸倒額 > 引当金残高
引当金が足りない場合(本問)
引当金を全額取り崩し、
不足分は貸倒損失で補う。
貸倒 ¥3,000 > 引当金 ¥1,200
→ 不足 ¥1,800 は貸倒損失
貸倒額 ≤ 引当金残高
引当金で全額まかなえる場合
引当金だけで処理。
貸倒損失は使わない。
貸倒 ¥1,000 ≤ 引当金 ¥1,200
→ 引当金だけで ¥1,000 取り崩し
解答(本問:引当金が足りないケース)
参考(引当金で全額まかなえるケース)
受
引当金が足りない場合と足りる場合で使う科目が変わるんですね。混乱しそうです…
手順を決めると迷いません。①まず貸方に「売掛金」を書く。②引当金残高の分だけ借方に「貸倒引当金」を書く。③差額が残れば借方に「貸倒損失」を書く。この順番で機械的にやれば大丈夫です。
師
補足:当期発生の売掛金が貸倒れたとき(2級向け)
引当金は「前期以前に発生した債権」に対して積むものです。当期に発生した売掛金が同じ期に貸倒れた場合は、引当金を使わず直接「貸倒損失」で処理します。
問題
当期に発生した売掛金¥5,000を貸倒処理したが、決算日に¥2,000を現金で回収できた。
貸倒処理時の仕訳(参考)
解答(回収時の仕訳)
💡 解説:当期に「貸倒損失」で費用計上した後、同じ期中に回収できたので貸倒損失を取り消します。回収額だけ費用を戻す形です。
まとめ
📋 貸倒引当金 処理ルール一覧
決算:差額補充法で積む
借方「貸倒引当金繰入」/貸方「貸倒引当金」
前期の売掛金が貸倒れ(引当金で足りる)
借方「貸倒引当金」/貸方「売掛金」
前期の売掛金が貸倒れ(引当金が足りない)
借方「貸倒引当金+貸倒損失」/貸方「売掛金」
引当金なし・前期売掛金が貸倒れ
借方「貸倒損失」/貸方「売掛金」
当期売掛金が貸倒れ後に回収(2級)
借方「現金」/貸方「貸倒損失」
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