日商簿記2級 | 公開:2026年5月9日

簿記2級の引当金とは?
貸倒引当金・退職給付引当金の仕訳を解説

著者:大谷 一輝(大阪経済大学3回生・日商簿記1級勉強中)

引当金は、将来発生しそうな損失や費用を、今期の費用として見積もっておくための勘定です。簿記2級では、貸倒引当金に加えて、退職給付引当金の考え方と仕訳が重要になります。

先に結論:引当金は「将来の支出や損失を、原因がある今期に先に費用化する」処理です。貸倒引当金は売上債権の回収不能に備え、退職給付引当金は従業員の退職金に備えます。

引当金とは

引当金とは、将来に発生する可能性が高い費用や損失について、金額を合理的に見積もれる場合に計上する負債または評価性の勘定です。

たとえば、売掛金の一部が回収できなくなる可能性や、従業員が将来退職するときに支払う退職金は、原因がすでに今期の取引や勤務にあります。そのため、発生が確定してからではなく、原因がある期間に費用として認識します。

引当金の基本イメージ

将来の支出・損失を見積もる:貸倒れや退職金など、あとで発生しそうな金額を考える。
今期の費用にする:原因が今期にあるなら、今期の損益計算書に費用を入れる。
貸借対照表に残す:将来の支出や損失に備える金額を引当金として表示する。

貸倒引当金とは

貸倒引当金とは、売掛金や受取手形などの売上債権が回収不能になる可能性に備えて設定する引当金です。

売掛金を全額回収できる前提で資産に残すと、実態より資産が大きく見えてしまいます。そこで、将来貸し倒れそうな金額を見積もり、貸倒引当金として控除します。

対象内容
売掛金商品を掛けで販売した代金
受取手形後日代金を受け取る権利
電子記録債権電子的に記録された債権

貸倒引当金の設定

期末の売上債権が1,000,000円、貸倒見積率が2%なら、必要な貸倒引当金は20,000円です。

貸倒引当金の必要額 = 売上債権の期末残高 × 貸倒見積率
1,000,000円 × 2% = 20,000円

貸倒引当金の残高が0円なら、次の仕訳で設定します。

借方金額貸方金額
貸倒引当金繰入20,000貸倒引当金20,000

差額補充法

差額補充法とは、期末に必要な貸倒引当金の残高と、現在の貸倒引当金残高との差額だけを追加で繰り入れる方法です。

必要額が20,000円、現在の貸倒引当金残高が8,000円なら、追加で繰り入れる金額は12,000円です。

繰入額 = 必要額 - 貸倒引当金の残高
20,000円 - 8,000円 = 12,000円
借方金額貸方金額
貸倒引当金繰入12,000貸倒引当金12,000

洗替法

洗替法とは、前期から残っている貸倒引当金をいったん戻し入れ、その後あらためて必要額を設定する方法です。

貸倒引当金残高8,000円を戻し入れ、必要額20,000円を新たに設定する場合は、次のように考えます。

借方金額貸方金額
貸倒引当金8,000貸倒引当金戻入8,000
貸倒引当金繰入20,000貸倒引当金20,000

実際に貸し倒れたとき

前期以前に発生した売掛金30,000円が貸し倒れた場合、設定済みの貸倒引当金を取り崩します。

借方金額貸方金額
貸倒引当金30,000売掛金30,000

貸倒引当金が足りない場合、不足分は貸倒損失として処理します。

当期発生の売掛金が貸し倒れた場合

当期に発生した売掛金が当期中に貸し倒れた場合は、過去に引当金を設定していないため、貸倒損失として処理します。

借方金額貸方金額
貸倒損失30,000売掛金30,000

退職給付引当金とは

退職給付引当金とは、従業員が将来退職するときに支払う退職金に備えて計上する引当金です。

退職金は退職時にまとめて支払われますが、その原因は従業員が毎期働いていることにあります。そのため、勤務期間に応じて退職給付費用を計上し、退職給付引当金を積み立てます。

退職給付引当金の仕訳

当期の退職給付費用を100,000円と見積もった場合、次のように仕訳します。

借方金額貸方金額
退職給付費用100,000退職給付引当金100,000

退職給付費用は費用、退職給付引当金は将来支払う退職金に備える負債として考えます。

退職金を支払ったとき

従業員に退職金300,000円を現金で支払い、退職給付引当金を300,000円取り崩す場合は、次のように仕訳します。

借方金額貸方金額
退職給付引当金300,000現金預金300,000

貸倒引当金と退職給付引当金の違い

項目貸倒引当金退職給付引当金
備えるもの売上債権の回収不能将来の退職金支払い
主な費用貸倒引当金繰入退職給付費用
貸借対照表での性格債権から控除する評価性の勘定将来支払う負債
使う場面貸倒れが発生したとき退職金を支払ったとき

よくあるミス

判断の軸:貸倒引当金では「前期以前の債権か、当期発生の債権か」を最初に見ましょう。退職給付引当金では「費用を計上する時」と「実際に支払う時」を分けるのがコツです。

まとめ

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よくある質問

引当金とは何ですか?
将来発生する可能性が高い費用や損失を、原因がある期間に見積もって計上する処理です。
貸倒引当金とは何ですか?
売掛金や受取手形などが回収不能になる可能性に備えて設定する引当金です。
退職給付引当金とは何ですか?
従業員が将来退職するときに支払う退職金に備えて計上する引当金です。
差額補充法とは何ですか?
期末に必要な貸倒引当金残高と、現在の貸倒引当金残高との差額だけを繰り入れる方法です。

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