労務費は、製品を作るために働いた人にかかる原価です。材料費に比べるとイメージしにくいですが、ポイントは「作業時間を製品に直接ひもづけられるか」です。直接労務費と間接労務費の区別を押さえれば、工業簿記の流れがかなり見えやすくなります。
労務費とは、製品を作るために発生した人件費です。工場で作業する人への賃金や給料が中心になります。
商業簿記では人件費を「給料」などの費用として処理しますが、工業簿記では製品を作るための人件費を製造原価として扱います。
| 分類 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 直接労務費 | どの製品のために作業したか直接わかる労務費 | 特定の製品を加工した直接工の賃金 |
| 間接労務費 | どの製品のためか直接わけにくい労務費 | 監督者の賃金、補助作業、手待時間、間接工の賃金 |
材料費と同じで、判断軸は「特定の製品に直接ひもづくか」です。直接作業時間に対応する賃金は直接労務費、それ以外は間接労務費に入ります。
直接労務費は、作業時間と賃率で計算します。
たとえば直接作業時間が80時間、賃率が1時間あたり1,500円なら、直接労務費は120,000円です。
直接労務費は、製品の原価へ直接入るので「仕掛品」に振り替えます。
間接労務費は、いったん製造間接費に集めてから製品へ配賦します。
工業簿記では、作業者を直接工と間接工に分けて考えることがあります。
| 区分 | 意味 |
|---|---|
| 直接工 | 製品の加工に直接関わる作業者 |
| 間接工 | 修繕・運搬・補助作業など、製品加工を支える作業者 |
ただし、直接工の賃金がすべて直接労務費になるわけではありません。直接工でも、手待時間や間接作業時間は間接労務費になります。
工業簿記では、予定賃率を使って労務費を計算することがあります。予定賃率とは、あらかじめ決めた1時間あたりの賃金単価です。
差異分析は、予定で計算した金額と実際の金額のズレを調整するためのものです。最初は「予定を使うとズレが出るから、あとで差異を計算する」と理解できれば十分です。