個別原価計算は、注文ごと・製造指図書ごとに原価を集める方法です。工業簿記の中でも「材料費・労務費・経費をどう製品に集めるか」が一気につながる重要論点です。この記事では、製造指図書、仕掛品、製品、売上原価までの流れを初心者向けに整理します。
個別原価計算とは、製品や注文ごとに原価を個別に計算する方法です。オーダーメイド家具、特注機械、建設工事のように、作るものが注文ごとに違う場合に向いています。
簿記2級では、製造指図書という管理表を使って、注文ごとに直接材料費・直接労務費・直接経費・製造間接費を集めます。
| 項目 | 個別原価計算 | 総合原価計算 |
|---|---|---|
| 向いている生産形態 | 受注生産 | 大量生産 |
| 原価の集め方 | 製造指図書ごとに集計 | 一定期間の原価をまとめて集計 |
| 例 | 特注品、オーダーメイド品、建設工事 | 食品、日用品、同じ製品の大量生産 |
個別原価計算は「注文ごと」、総合原価計算は「期間ごと」と考えると整理しやすくなります。
製造指図書とは、どの製品をどれだけ作るかを指示し、その製品にかかった原価を集計するための表です。個別原価計算では、製造指図書が原価計算の中心になります。
| 製造指図書に集める原価 | 内容 |
|---|---|
| 直接材料費 | その注文の製品に直接使った材料費 |
| 直接労務費 | その注文の製品に直接かかった作業時間の賃金 |
| 直接経費 | その注文の製品に直接ひもづく外注加工賃など |
| 製造間接費 | 配賦基準にしたがって割り当てる工場共通費 |
個別原価計算では、原価は次のように流れます。ここを図のようにイメージできると、仕訳も理解しやすくなります。
直接費も製造間接費も、最終的には仕掛品に集めます。個別原価計算では、この仕掛品の内訳を製造指図書ごとに管理するイメージです。
製造指図書No.101について、直接材料費50,000円、直接労務費30,000円、直接経費10,000円、製造間接費配賦額20,000円が発生したとします。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 直接材料費 | 50,000円 |
| 直接労務費 | 30,000円 |
| 直接経費 | 10,000円 |
| 製造間接費配賦額 | 20,000円 |
| 製造原価 | 110,000円 |
この製造指図書の製造原価は110,000円です。完成したら、仕掛品から製品へ振り替えます。