日商簿記3級 | 公開:2026年5月7日

その他の債権・債務の仕訳
前払金・前受金・仮払金・仮受金・立替金・預り金

著者:大谷 一輝(大阪経済大学3回生・日商簿記1級勉強中)

簿記3級では「売掛金・買掛金」以外にも、取引の前後関係や第三者のお金を預かる場面で使われる勘定科目が出てきます。今回は前払金・前受金・仮払金・仮受金・立替金・預り金の6つを、債権・債務の観点から整理します。

① 債権と債務の考え方

簿記の債権・債務は「お金を受け取る権利(資産)」と「お金を支払う義務(負債)」です。

資産(債権)
前払金・仮払金・立替金
先払い・仮払い・立替えによって、相手からお金を返してもらう権利が発生する。
負債(債務)
前受金・仮受金・預り金
前受け・仮受け・預かりによって、相手にお金を返す義務が発生する。
語呂合わせで覚えよう!
「前・仮・立→資産」「前受・仮受・預り→負債」
払う側(払金・払金・替)は資産、受け取る側(受金・受金・り)は負債と覚えると混乱しにくい。

② 前払金・前受金

商品の注文時に手付金(内金)を授受するときに使います。商品の引渡しが完了すると精算します。

立場発生時精算時
注文した側(買い手) 前払金(資産)の増加 前払金を取り崩し、仕入を記録
注文された側(売り手) 前受金(負債)の増加 前受金を取り崩し、売上を記録

買い手側(前払金)

例題①-A

商品 ¥100,000 を注文し、手付金 ¥20,000 を現金で支払った。

仕訳(注文時)
前払金20,000現金20,000
例題①-B(続き)

商品が届き、残金 ¥80,000 を現金で支払った。

仕訳(受取時)
仕入100,000前払金20,000
現金80,000

売り手側(前受金)

例題①-C

商品 ¥100,000 を注文され、手付金 ¥20,000 を現金で受け取った。

仕訳(注文受付時)
現金20,000前受金20,000
例題①-D(続き)

商品を引き渡し、残金 ¥80,000 を現金で受け取った。

仕訳(引渡時)
前受金20,000売上100,000
現金80,000

③ 仮払金・仮受金

金額や内容が確定していない段階で支払い・受取りが発生したとき、一時的に「仮払金」「仮受金」で処理します。内容が確定したら正しい勘定科目に振り替えます。

仮払金(資産)

例題②-A

社員の出張費として概算 ¥30,000 を現金で渡した。

仕訳(渡したとき)
仮払金30,000現金30,000
例題②-B(続き)

出張から戻り、交通費・宿泊費 ¥26,000 だったと報告があり、残金 ¥4,000 を現金で返金してもらった。

仕訳(精算時)
旅費交通費26,000仮払金30,000
現金4,000

仮受金(負債)

例題③-A

銀行口座に ¥50,000 の入金があったが、内容が不明だった。

仕訳(入金時)
当座預金50,000仮受金50,000
例題③-B(続き)

売掛金の回収分だったことが判明した。

仕訳(判明時)
仮受金50,000売掛金50,000

④ 立替金・預り金

第三者のお金を一時的に立て替えたり預かったりするときに使います。

立替金(資産)

本来は相手が払うべきお金を、こちらが代わりに支払った場合。後で返してもらう権利が発生します。

例題④-A

従業員が負担すべき生命保険料 ¥5,000 を会社が現金で立て替えた。

仕訳
立替金5,000現金5,000
給料日に差し引く場合
給料から天引きするときは「立替金」を取り崩します。
(借)給料 xxx / (貸)立替金 5,000 / (貸)現金(差引支給)xxx

預り金(負債)

本来は相手のお金を一時的に預かっているだけです。源泉所得税・社会保険料の天引きが典型例です(給料の記事と合わせて確認しよう)。

例題④-B

従業員の健康保険料(従業員負担分)¥8,000 を給料から天引きし、後日納付する。

仕訳(天引き時)
給料8,000預り金8,000
仕訳(納付時)
預り金8,000現金8,000
「預り金」を収益にしてはいけない!
預かっているだけなので収益にはなりません。後で必ず返す・納付する義務がある「負債」として処理します。

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📋 まとめ:その他の債権・債務 早見表

前払金資産|商品注文時に支払った手付金(後で仕入と相殺)
前受金負債|商品注文受付時に受け取った手付金(後で売上と相殺)
仮払金資産|内容未確定の支払い(確定後に正しい科目へ振替)
仮受金負債|内容未確定の受取り(確定後に正しい科目へ振替)
立替金資産|相手のお金を代わりに支払った(後で返してもらう権利)
預り金負債|相手のお金を一時的に預かっている(後で納付・返却)