日商簿記3級 | 公開:2026年5月8日

商品有高帳の書き方
先入先出法・移動平均法を例題で完全解説【日商簿記3級】

著者:大谷 一輝(大阪経済大学3回生・日商簿記1級勉強中)

商品有高帳は「何を・いくらで仕入れ、いくらで払い出したか」を管理する補助簿です。先入先出法(FIFO)移動平均法の2種類の計算方法があり、どちらを使うかによって払出単価・売上原価が変わります。本記事では両方の計算方法を例題つきで完全解説します。

① 商品有高帳とは

商品有高帳は、商品の受入・払出・残高を管理する補助簿です。三分法では「仕入」「売上」「繰越商品」の3勘定を使いますが、実際に何個をいくらで仕入れてどれだけ残っているかは総勘定元帳だけでは把握できません。商品有高帳を記けることで、売上原価(払出金額の合計)を正確に計算できます。

② 先入先出法(FIFO)

先入先出法は「古いものから先に払い出す」というルールです。先に仕入れたロットから順番に払い出すため、払出単価は仕入順に決まります。物価が上昇しているときは、古い(安い)単価が先に払い出されるため、売上原価が低く・利益が高くなる傾向があります。

例題(先入先出法)

例題

以下の取引について先入先出法で商品有高帳を記入しなさい。

先入先出法では、売上150個の払出は「期首の100個(@200円)→ 仕入分の50個(@210円)」の順に払い出します。

日付 摘要 受 入 払 出 残 高
数量単価金額 数量単価金額 数量単価金額
前期繰越期首 10020020,000 10020020,000
5/10仕入 20021042,000 20021042,000
5/15売上① 10020020,000
5/15売上② 5021010,500 15021031,500
払出合計 15030,500 15021031,500

先入先出法では、単価の異なるロットが残高欄に複数行並ぶことがあります(上記では期首100個と仕入200個が混在)。払出時は古い方から先に処理します。

③ 移動平均法

移動平均法は「仕入のたびに平均単価を計算しなおす」方法です。受入のたびに(受入前残高金額+今回受入金額)÷(受入前残高数量+今回受入数量)で新しい平均単価を求め、以後の払出にはこの単価を使います。

例題(移動平均法)

同じ例題で移動平均法を使います。5月10日の仕入後の平均単価を計算します。

平均単価 =(20,000 + 42,000)÷(100 + 200)= 62,000 ÷ 300 = 206.67円(≒207円)

日付 摘要 受 入 払 出 残 高
数量単価金額 数量単価金額 数量単価金額
前期繰越期首 10020020,000 10020020,000
5/10仕入 20021042,000 30020762,000
5/15売上 15020731,050 15020730,950
払出合計 15020731,050 15020730,950

移動平均法では、残高欄の単価は常に1行(平均単価)になります。端数が出る場合は問題の指示(小数点以下切捨てなど)に従います。

④ 2つの方法の違いと選び方

比較項目 先入先出法(FIFO) 移動平均法
払出単価の決め方 古いロットから順番 仕入のたびに平均計算
残高欄の行数 複数行になることあり 常に1行
物価上昇時の売上原価 低くなる(古い安い単価) 中間的な値
物価上昇時の利益 高くなる 中間的な値
計算の手間 払出時に複数ロットの管理が必要 仕入時に平均計算が必要
試験での注意点:払出欄の単価・金額・残高欄の記入ミスに注意
商品有高帳の記入問題では、払出欄の単価と金額を正確に記入することが重要です。先入先出法では複数ロットにまたがる場合、払出欄を2行に分けて記入します。残高欄の金額は「数量×単価」で必ず一致させましょう。

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練習問題

以下の取引について、先入先出法・移動平均法それぞれで商品有高帳を記入しなさい。

ポイント:先入先出法では4月10日の払出が2ロットにまたがります。移動平均法は仕入のたびに平均単価を再計算します。

まとめ:商品有高帳 早見表

先入先出法(FIFO)古いロットから順に払出。残高欄が複数行になることあり
移動平均法仕入のたびに平均単価を再計算。残高欄は常に1行
払出金額の合計売上原価になる(費用)
残高金額期末商品棚卸高になる(資産)