日商簿記3級 | 公開:2026年5月7日

株式会社の取引の仕訳
株式発行・剰余金の配当・利益準備金

著者:大谷 一輝(大阪経済大学3回生・日商簿記1級勉強中)

株式会社では、株式を発行して資金を集め、利益を株主に配当します。簿記3級では株式発行・剰余金の配当・利益準備金の積立の3つの処理を押さえれば十分です。

① 純資産の構成を把握する

株式会社の純資産は主に3つで構成されます。

純資産(資本)の構成
資本金 株主から出資してもらったお金(原則として株式発行額の全額)
利益準備金 配当するたびに法律で積み立てが必要な準備金
繰越利益剰余金 累積した利益のうち配当や準備金以外に残った分
「繰越利益剰余金」が試験のキーポイント
配当や利益準備金の積立では「繰越利益剰余金」を減らします。増減の仕訳をしっかり覚えましょう。

② 株式を発行したときの仕訳

会社設立時や増資時に株式を発行し、株主から出資金を受け取ります。受け取った金額はすべて資本金に計上します(簿記3級の範囲では全額資本金)。

例題①

会社設立にあたり、株式200株を1株 ¥50,000 で発行し、全株の払込みを受け、当座預金に入金された。

仕訳
当座預金10,000,000資本金10,000,000

(200株 × ¥50,000 = ¥10,000,000)

簿記2級以上では「資本準備金」に半分計上できる
3級では発行額の全額を「資本金」とします。2級では会社法の規定により、払込金額の1/2までを資本準備金として計上可能です。

③ 剰余金の配当と利益準備金の積立

株主総会で配当が承認されると、繰越利益剰余金を減らして「未払配当金(負債)」と「利益準備金」に振り替えます。

利益準備金の積立額の計算ルール

会社法では、配当するたびに配当額の1/10を利益準備金として積み立てることが義務づけられています。ただし、資本金の1/4に達したら積立不要です。

繰越利益剰余金(減少額)配当額 + 準備金積立額
 未払配当金(負債)配当額
 利益準備金(純資産)配当額 × 1/10
例題②

株主総会で繰越利益剰余金から ¥500,000 の配当を行うことが承認された。利益準備金の積立額は配当額の1/10とする。

仕訳(配当の承認時)
繰越利益剰余金550,000未払配当金500,000
利益準備金50,000

(利益準備金:500,000 × 1/10 = 50,000 / 繰越利益剰余金:500,000 + 50,000 = 550,000)

仕訳(配当の支払時)
未払配当金500,000当座預金500,000
承認時と支払時で2段階に分けて仕訳する!
株主総会で承認されたとき → 「未払配当金」(負債)を立てる
実際に支払ったとき → 「未払配当金」を取り崩す

④ 当期純利益の振替(決算整理)

決算で当期純利益が確定すると、損益勘定から繰越利益剰余金へ振り替えます。

例題③

当期純利益 ¥800,000 を損益勘定から繰越利益剰余金に振り替えた。

仕訳
損益800,000繰越利益剰余金800,000

当期純損失のときは逆になります。

当期純損失の場合
繰越利益剰余金xxx損益xxx

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📋 まとめ:株式会社の取引 早見表

株式発行当座預金など / 資本金(全額)
配当の承認繰越利益剰余金 / 未払配当金 + 利益準備金
準備金の積立額配当額 × 1/10(資本金1/4まで積立義務)
配当の支払未払配当金 / 当座預金
当期純利益の振替損益 / 繰越利益剰余金
当期純損失の振替繰越利益剰余金 / 損益